Leaders Style(リーダーズスタイル)

赤井勝

花人

赤井勝

Masaru Akai

1965年、大阪府生まれ。2001年在大阪ロシア連邦総領事館の装花を担当。02年電通本社ビル「光の庭」をプロデュース。04年ウクライナ大使館主催「赤井勝 装花の会」を開催。05年エジプト政府観光省主催イベントの装花を担当。06年「Japan-Latin Ladies Association」加盟の大使夫人諸姉の「花の教室」を主宰。07年アイルランド大使夫妻を迎えた「アイルランドの音楽」の会場装花をプロデュース。08年オリックス・バファローズ清原和博選手引退セレモニーでは引退式のセレモニーの装花および王貞治氏、金本知憲氏が贈呈する花束を制作。09年謁見会場「パウロ6世ホール」にオブジェを制作。ローマ法王ベネディクト16世に謁見の際、ブーケを献上。
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 綺麗なものが好きなんですかって聞かれたら、もちろん綺麗なお花も好きなんですよ。でも萎れている花も好きなんですよ。なんかまっとうしている感じがありますよね。枯れても好きなんですよ。全て花だと思っているから。

 桜も散らなかったら来年は咲かないからね。儚いとか、今年も終わったなとかあると思うけど、あれが三日とか一週間きっちり咲いたらあんまり気持ちがいいものじゃないと思うんですよ。人と話をする中で「今年は案外早かったな」とか「雨が無かったら二週間くらい見れたよね」とかそんな話をしますよね。結局は決まってない方がいいんですよ。ちょっとずつ。それがちょっと不安定だから、たまたま休みがあって見れてラッキーだったとかあるんだから。僕らが思う五分咲きが三分咲きかもわからへんし、三分咲きが満開かもしれない。その人が見る目と、角度で主観が変わるんですよ。
誰でも自分の花を持っている
赤井勝
 実家は花屋をしていて、お爺ちゃんお婆ちゃんが花作り農家をしていました。小ちゃい頃からずっと花を見てお店でも遊んでいましたね。お花も習いに行きましたけど、こういう仕事をしようっていうよりは、スッとそのまま大したきっかけもなく今の仕事をするようになりました。こういう環境に生まれたのがきっかけかな。好き嫌いというよりは、いつも横にあるものでしたから。お花屋さんで遊んでいる時に葉っぱとか折れた花なんかを集めて遊んで作っていたんです。生け花を習いに行って、その後にはフラワーアレンジメントって出てきてフラワーデザインが流行ってきて、両方を習っていたんです。両方の良い所を意識しあっているなっていうのは分かるんですね。フラワーデザインっていうのは日本の伝統的なことに凄く興味を持っているし、生け花っていうのは剣山とか寸胴とかに入れるけど180度くらいの展開が限界なんですよ。フラワーデザインでスポンジが出てきて360度展開のものを考えたりとか。そういうことを日々やっていて、それならもっと自由にやった方がいいんじゃないか?デザインをこうしなくちゃいけないとか、生け花はこういう伝統を守らなくてはいけないとか、それを両方分かった上で自分らしさっていうことを作った方がいいと思いましたね。

 段々と日本は住宅が簡素化されてきて、シューズインクローゼットになったり下駄箱の上に花を飾るところが無かったり、テレビも薄型になって上に飾る場所がなくなったり、勿論床の間なんかも無いから生け花を置くスタイルっていうのが無くなりましたよね。それでもインテリアも和室でテーブルとイスっていうのもいけるようになったり、マンションだって独特の日本的な空間、日本人的な空間を作ったりしているんですよ。そうなった時に、花を飾るならその空間に合うように飾らないといけない。自分達の空間を作って、気に入った花を飾るっていうふうに変わってきていますよね。だから、僕の表現っていうのは今の僕が心地いいところ。僕がいいと思うことが皆にとってもいいとは考えていないんですよ。

 実は、こだわりが無いんですよ。こだわりを持たないことがこだわりなんです。発注してくれた人がいて、頼まれる方より僕の方がお花の経験が多いから、その人の思いであったり、それが一輪でも100本でも、それをどうこの花に変えていくかっていう。その人の代わりに作っていくっていうことが共鳴するということだから。イベントでも個人でも、大きいものでも小さいものでも、そう思っています。

 「花人」っていうのは僕なんです。それと、アナタなんです。皆さんなんです。さっきの桜の話で言う「お花がキレイなぁ」とか「いや、お花は苦手ですぐに枯らしてしまうんですよ」とか、皆「花人」なんです。バラもチューリップもカーネーションも分からなくても、自分の中のお花って持っているじゃないですか。「ウチのオカンは花が好き」なら、お母さんというフィルターで花を見ているし。濃い薄いはあるけれど、お花を作って、お花を習って、お花を一生の中でどれだけ触れているから「花人」というわけではないですよ。
自分の範囲が広がった
 今年(2012年)は清春さん(ex黒夢、SADS)とコラボレーションをしました。アルバムのジャケットとプロモーションビデオ用にお花を作ったんですよ。清春さんは金髪の入墨をいれた兄ちゃんっていう感じ(笑)。いい兄ちゃんでした。こういうコラボレーションは初めてだけど、面白かったです。ロック音楽は分からないけれど、人を惹き付けるような何かがあるんだろうなっていうのは感じましたよね。何度か一緒に御飯を食べて話もしたけれど、何か表現をするっていう部分を引き受けている、それは彼にとっては歌を唱うっていうことで引き受けていて、たまたま僕は花ですよね。

 ライブも観に行きました。その時はロック的なものではなくてアコースティックの静かなライブをやっていたんです。予定があったので雰囲気だけ見て帰ろうと思っていたんですが、途中で気づいたんです。ずっとお花にまつわる歌を唱ってくれたんです。僕、3時間帰れませんでしたね。楽屋に行ったらマネージャーから「気づきました?」って。「今度お花を作ってもうらうということで、今日は赤井さんの為にやったんですよ」って言われたんです。嬉しかったですよ。そんなこと彼は言ってくれなかったので。

 それもお花をやっているから、そういう繋がりができましたよね。刺激を受けました。以前にもNHKで人間国宝の方の琴や尺八の演奏家と一緒にさせて頂いて空間を作ったことがありますけど、その時とはまた違うものを作ることができたので、自分の中では範囲が広がったというか、もしくは今まであったものを自分の中で形にできたのかな?って思います。
※記事の内容は取材当時のものとなります