Leaders Style(リーダーズスタイル)

株式会社ゲンプランニング 小林香織

1981年、神奈川県生まれ。東京都育ち。写真家の父、ピアノ教師の母との間に生まれ、0歳よりピアノを始める。洗足学園音楽大学ジャズ科卒業。2005年アルバム「Solar」でデビュー。タイ SAX SOCIETYより「アジアで最も美しいサックス奏者」として賞を授与され、チェンマイシティジャズフェスに出演。2012年には7枚目のアルバム『SEVENth』を日本、台湾、香港、シンガポール、韓国にて、 同時リリース、台湾のチャートではジャズチャートで2作連続1位、総合で12位を獲得。
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 ライブ後はもう、快感です。いつもこの瞬間のためにやっているっていう感じですね。毎月違う内容のライブを企画するのはとても大変なことなので、準備に追われ、前日は結構憂鬱だったりするんですよ。落ち着かないっていうか・・・。私はミュージシャンですけど、結局はただの音楽ファンなんですよね。だから自分が聴きたいことをやりたい。そういうチョイスで選んでいるので「飽きない」って言ってもらえるのは凄く嬉しいですね。やっぱり歌が入るのと入らないのとではだいぶ違いますから、インストは工夫を凝らさないと。

 歌のある曲をカバーするには、まずはその曲がサックスに変身した時のことを想像してみるんです。たまに歌で唱えばカッコいいんだけれど楽器でやるとダサくなる曲があるんです。洋服選びとすごく似ていて、例えばマネキンが着ていて可愛いから自分に似合うとは限らないっていうのと同じなんですよ。
今は全体が見えるようになってきた
小林香織
 似合うか似合わないかでまずは選んで、その次にキーを変えるのがポイントなんです。ミニー・リパートンの「Loving you」をフルートでカバーしているんですけど、「Haa Ah~」っていうあの高いところがフルートの一番高い音になるように、自分でも出るかな?出るかな?っていうところにしています。原曲も「Haa Ah~」っていうところにみんなグッとくるわけですよね。あれがもし、フルートの低いところでやってもあんまりピンとこない。だからわざとそういうギリギリのところを狙っているんです。2012年発売のアルバム「SEVENth」でサンタナの「ヨーロッパ」をカバーしているんですけど、サビのところで、サックスのサイドキーっていう凄く高い音をわざと使っているんです。やっぱり、そこがちょっと苦しそうな感じっていうのが聴き手はギュッとくるのかなって。

 今日のライブは「ユルくやる」というのがテーマで、なるべくシンプルに作る予定でしたが、アレンジをしているウチに「ここはワウでソロをしたい」って思いついて、急遽エフェクターを使用しました。いつもエフェクトを使っているわけじゃないんですけどね。でも「ユルい」っていうのはとても難しい。ユルいことは「退屈」とは違う。ユルくても「次は何が起こるかな?って」常に聞く人がドキドキしていないといけませんから。BLUES ALLEY(目黒)で毎月違う内容のライブをさせて頂いていますが、なぜか本番の直前にアイデアがザァって出てくるんですよ。だからいつも徹夜みたいになっちゃって、今回もほとんど寝ないでライブをしています。いつものことなんですけどね!本番の一週間前とか二週間前にこのアイデアが出てくれたらな・・っていつも思うんですけど(笑)

 以前はプロデューサーの意向でアルバムを作っていたんですけど、2012年のアルバムからは独り立ちというか、デビューして7年目にしてようやく自分のアルバムを自分でプロデュースすることができるようになりました。ここ近年のライブも全部自分で企画・プロデュースしているんですけど、デビューしてからしばらくは、バンマス(バンドマスター)がいて、ある程度線路を引いてもらい、その上を走る、という感じでした。今はもう線路の方向をどっちに進むのかっていうことや、どういう風に作っていくのか?っていうところから全て自分で手がけています。
 デビューした7年前と今との一番の違いは、全体が見えるようになったこと。当時はそれどころじゃなかったですね。自分のことでいっぱいいっぱい。今はもっと周りが見えるようになって、アレンジに関して言えば、自分が演奏するメロディーだけじゃなくて、ギターは何をしたらいいか、ドラムは何をしたらいいか、他の楽器のことも見えるようになった。そこは大きな成長かなって思います。ずっと前から、いつかは自分でプロデュースしないと「これが私のアルバムです」っていう作品は作れないとずっと思っていたので、デビューから7年が経って30歳になって、やっとできるようになりました。長年の夢がやっと叶いましたね!
私のライブを見てから考えて欲しい
株式会社ゲンプランニング
 サックスを選んだきっかけは、常に意表を突きたいと思っていたのもあると思います。子供の頃は髪の毛も黒くて、学校で「お嬢」とか呼ばれて「なんかマジメって感じ」とか「勉強チョー出来そうだよね」とか、ちょっと小馬鹿にする子がいるじゃないですか。そういうのを言われるのが凄く嫌だったんです。私は特別なお嬢様でもなんでもないのに。だからここでバイオリンやフルートをやったら、もっといじられると思って、そこで「お嬢」のイメージを払拭する楽器は無いかな?と思った時に「サックス!?」みたいな(笑)あとは音色にゾッコン、一目惚れ、一聴き惚れですね!

 元々ノリがいい、踊れる音楽が好きだったんです。聴いた瞬間にテンションが上がったりとか、いい気分になれる音楽っていうのが子供の頃から凄く好きでしたね。だからプレイスタイルは自ずとそういう方向になりますけど、「サックス」というと、いろんな人から「ジャズ、ジャズ」って言われるんですけど、私ジャズは全然聴かないんですよ(笑)

人の心を動かすことが夢なんです。世の中、辛い想いをしている人っていっぱいいるじゃないですか。自殺で亡くなる人のことをニュースで見たりすると、すごく残念に思うんです。私のライブを見てから考えて欲しかった・・というか、そういう人達を救えなかったのかな?「ちょっと待ってよ」という気持ちになります。以前、鬱病でなかなか仕事に就けなかったという方からお手紙をいただいたのですが、私のDVDをいい環境で見たい!という気持ちから、お仕事に就いて、いつもはなかなか続けられなかったそうなのですが、その仕事をずっと続けて、そしてついに、大型テレビとDVD、ホームシアターを買って、 最高の音質で私のDVDを観てくれたそうなんです。このお手紙を読み終わって、「やっていて良かったな」って心の底から思いました。震災もありましたし、今までは、ただカッコいいことをしたい気持ちが強かったのですが、今はそこに、「心のメッセージ」をプラスしたいと思っています。
※記事の内容は取材当時のものとなります