Leaders Style(リーダーズスタイル)

株式会社吉田金型工業 吉田正生

1971年に愛知県で生まれる。大学は法学部で学び、その後プラスチックの大型金型工場へ4年半修行に行った。現在の会社に転職し、2013年6月に社長に就任となった。
 日本のモノづくりは、こだわり。どうでもいいところに、こだわる気概。金型の作業工程の中で研磨という作業があるのですが、吉田金型工業ではいかに綺麗に磨くかこだわる。必要が無く、後工程で引きずられて傷だらけになる場所にも関わらずです。それなのに、ピカピカにする。いわゆる、過剰品質というものです。それが日本のモノづくりのいいところだと思います。
 手を抜くことができない、この値段だからこの出来映えでいいというわけにはいかない。こだわりって分かってくれる人は分かってくれますから。確かに、手を抜けるところは抜かないといけないこともあるけれど、でも個人的には職人のそういうこだわりが好きなんですね。
これで良し、とはしない
吉田正生
 会社の特徴は、比較的難易度の高い依頼を国内のメーカーから頂いています。自慢は品質。顧客要求にどれだけ応えられるかというのも腕のみせどころです。あとは顧客への改善提案力。それを叶えるのは会社の雰囲気が大事です。品質を保とうとする気持ち。各工程はそれぞれの役割が担当するので、誰か一人が良いという状態ではなく、全社員が品質に対するこだわりを持つ事が大事なんです。
 吉田金型工業の創業はおよそ60年前。私の祖父が名古屋市の瑞穂区で創業した会社です。私が10歳くらいの頃に、現在の大府市に工場を移転しました。それまでは自宅が工場であったので、大人になって吉田金型工業に入社した時は「故郷の匂い」を感じたものです。

 大学卒業後は他所のプラスチックの大手金型メーカーに入社しました。直ぐに吉田金型工業に入社してしまうと、一般社員の気持ちがわからないためです。ですから、新人時代から他の社員と同様に現場の作業を経験しました。最初に現場をやるように言われその後CAMに配置転換され、退職するまで4年半専念して学びました。CAMというのは、金型製作段階で機械を自動で動かすためのプログラム。切削加工のことを一番詳しくないと、そのデータは作れないので、CAMが腐れば全てが腐ると言うくらい、主要な部分でそこを任されました。ですから、鉄の削り方というのは凄く勉強になりましたね。ひねくれ者なところがあり、実績のあるデーターをそのまま改善も無しに使うのが嫌で、毎回何か変化をさせていました。「新しい技術、成功した瞬間に古い技術」と常に考えており、できたらこれで良しとしてしまわずに、もっと良くなるのでは?という探究心が旺盛です。でも、根は面倒くさがり。面倒くさいを無くすための面倒は大好きですが。

 時代によって求められる金型は変化しているので、今の時代にあった金型を見極めて、お客様に喜ばれるように日々勉強をしています。私が入社した頃は30名ほどだった社員も現在では60名ほど。大手の取引先ができ、人や機械を増やしましたが、金型業界というのは不況産業ですから、大変です。そういう中でも生き残るための鍵は、いかにお客様に付加価値を感じてもらえる仕事ができるかだと思います。例えば、中国の人件費が日本の10分の1ほどだった時期があり、多くの仕事が中国に流れました。それなら、ウチに依頼するだけの理由がなければ生き残れない。ですから、お客様に何を提供できるのかを再定義しました。その答えは、絶対的な品質の良さ。それに納期についてはノーと言わない。できるだけお客様の期待に応えられるようにしています。
和気あいあいとした会社の雰囲気
株式会社吉田金型工業
 ある大手メーカーさんから品質賞を2年連続で頂いています。この5年で3回の受賞。品質賞は非常にたくさんの仕入れ先の中で頂けるのはたったの10社で、大手が数多く貰う中でウチのような金型屋が頂けるのはとても名誉だと思います。
 非常に高難度でお客様から「こんなのできる?」と言われた時に「余裕ですよ」と言えるようになっていれば自ずと信頼されますから、常に最新の技術には目を光らせていますね。お客様が弊社と繋がっていたいと思われる企業でなければならないと考えています。

 上が偉ぶらないのが吉田金型工業のスタイル。上も現場も同じ目線で、和気あいあいとしています。先代社長の父が、ISO9001の認証取得をすることをきっかけに社是を掲げたのですが、父の一番強い想いをということで「夢の実現」という言葉が社是になりました。私の夢は、社員あっての会社だという強い想いがありますから、やはり社員と家族の笑顔が夢です。働いている社員は私の家族という気持ち。辞めてからも遊びに来てくれる人もいる。定年を迎えてからも再雇用する制度もあり、70歳を過ぎても働く人もいる。そういう雰囲気づくりとしては、良いスタイルになっていると思います。経営判断をする時にいろいろブレテしまう時が多いです。「社員の笑顔」の為に正しいと思う事が変化した時はプライドも無く変更するからです。しかし「社員の笑顔の為」、この部分は絶対にブレません。それこそが弊社が存在する意義だと思うからです。
※記事の内容は取材当時のものとなります