父は一部上場企業へ務めるビジネスマンで、親戚は公務員かエリートばかり。そんな家系で育ったせいか、小さな頃からわりと安定した生活を送っていたと思います。金銭的な面で苦労はしていない家庭でした。

ただ両親の教育方針は、かなりスパルタ。たとえば偏差値や学校の成績に関しては一切妥協を許さないんです。「できないことがあってはいけない」「とにかく能力を高くしなさい」という教育でしたね。そして私は何とか明治大学まで進学。

ただ当時は、現実から逃げ出したい自分がいたことも事実です。その反動でバンドを組み、音楽活動に明け暮れる日々を送っていました。「ミュージシャンになってスターになれば、就職だってする必要はないしお金だって儲けられる！」。そんな浅はかな考えでバンドを続けていたんです。しかしその最中、父が病床に倒れたのを機に生活が一変しました。それが貧乏生活の始まりです。私は当時19歳、大学に入ったばかりの事でした。

両親が離婚をしたのも、そのすぐ後の事です。父は入院生活を送り、母は実家に戻り、私は追い出されるように一人暮らし。家族はあっという間にバラバラになって、私は仕方なく自腹で学校へ通い、自分のお金だけで生計を立てる生活を強いられました。そんな最悪の状況では、当然バンドなんてやってられません。とにかく生活費や学費を稼ぐため、アルバイトに精を出す毎日が続きました。

そんな時に気づいたことは、いかに自分が何もできない人間なのかということです。自分の部屋の掃除すら一度もしたことがない。洗濯機の回し方すらわからない。炊飯器も一度も使ったことがない。もちろん料理もしたことがない。いわゆる駄目人間です。 そして何よりも痛感したことは、お金を稼ぐことの大変さ、お金の大切さです。業務用スーパーで売っていた98円のカップ麺を食べ、1カ月の食費を5000円でおさえる生活を続けていた時期もあるくらいでしたから。

でもなぜ、「一部上場企業に勤めていた父が病床に倒れただけで、ここまで人生が狂ってしまうのか」という疑問が湧きました。しかし社会を見渡せば、それは当たり前のことなのかもしれません。

たとえ東大を出ても給料が倍になるわけじゃないですし、一流大学を卒業して一流企業に勤めても、暮らしが保証されるわけではありません。そういう世の中なんだと悟ったんです。そして私はふと思い立ったように、海外へ旅に出かけました。

必要なことは大学を卒業して企業に就職することよりも、大きな夢を持ってそのために頑張ることだと思ったからです。海外に目を向ければ、もっとスケールの大きい「やりたいこと」が見つかると思いました。ちょうど20歳の時です。日本を飛び出し、ニューヨーク、ボストン、ベネチア、ローマ、パリと、今まで知らなかった世界を見て回りました。その中で一番印象的だった場所がニューヨークです。そこで掲げた夢が「ニューヨークの摩天楼の頂点に立ちたい」というかなり壮大な夢でした(笑)。今でもその夢は変わっていません。

ニューヨークという街に衝撃を受けて夢を持ち、辿り着いたのが今の仕事です。なぜ今の仕事に辿り着くのかと言うと、私のように突拍子もなく壮大な夢を掲げても、それを叶えるためにどうすればいいのかを教えてくれるスクールがないと思ったから。人にはそれぞれ色んな夢があっていい。自分の人生ですからね。そして、人の夢や人生が10通りあれば、教え方や道筋も10通りあるはずです。

でも、自分の夢や人生に合わせてノウハウを教えてくれるスクールはありませんでした。そのため、スクール運営をするからには、自分のためではなく人のために夢を後押しできなきゃいけないと思いました。今後も事業拡大をしていきながら、たくさんの人に夢を与え、叶えていくような活動を続けていきたいと思っています。みんなの夢が叶ったその先に、私の夢が叶うと信じています。